2017.07.20
ドクターG
医療番組でよく見るNHK「総合診療医・ドクターG」が昨日22時20分から放映されていました。
この番組は、実際に経験した症例に研修医たちが挑む病名推理番組です。
昨日のテーマは「ずっと肩が痛い」
当院の診療でもよくある症状ですので興味深く拝見しました。
患者は母親を介護する49歳の女性。肩甲骨のあたりの痛みが次第に悪化。思いがけない病気が判明!
【出演】市立福知山市民病院 医師 川島篤志先生のご出演でした。
女性は夫と娘、母親の4人暮らし。80歳を超える母親が骨折して引き取ることになり、仕事をやめて介護をしている。
部屋の整理で家具をもって筋肉痛になり、その後、肩甲骨の辺りが痛みだし、だんだん悪化してきた。
近所の病院でレントゲン、心電図を撮ったが異常はみつからなかった。
しかし痛みはひどくなるばかり。母親は自分が迷惑をかけて申し訳ない、家を出て行くと言い出す始末でした。
母親が足を滑らせて転倒しそうになった時に支えた直後に動悸・冷や汗・吐き気が急に出現。
その後、娘に背中をマッサージしてもらっている時も急に同様の症状が出現。
両方とも副腎という臓器に刺激が加わって誘発されたものとのことでした。
病名は「褐色細胞腫」です。
褐色細胞腫は、副腎髄質にできる腫瘍です。
腫瘍からはカテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミン)というホルモンが分泌され、このホルモンの作用でさまざまな症状が現れます。
代表的な症状は、カテコールアミンが多く分泌されることによる高血圧、頭痛、発汗過多、血糖の上昇です。
そのほか、動悸、やせ、便秘、胸痛、視力障害などもしばしば起こります。
発作は姿勢(腹ばいや前屈など)、食事、排便、腹部の触診など腫瘍が圧迫されるような状況で誘発されることがあります。
症状から褐色細胞腫が疑われれば、血液中および尿中のホルモンを測定します。
発作中に血液検査ができる場合は診断に有用ですが、発作が起きていない時は、血液中のカテコールアミン濃度は正常値を示すこともあります。
このため発作直後の尿中あるいは1日中ためた尿中のカテコールアミンやその関連物質を測定します。
腫瘍の部位を明らかにするためには腹部の超音波やCTなども行われますす。
まれに、発作のために急激に血圧が上がったり脈が速くなったりして、心不全や出血の危険性が高まることもあります。
番組中、鑑別の一つに上がっていたものに、胆石がありその触診である「マーフィー徴候」は診察中に発作が出現する可能性があった為、あえて行わなかったところがすごい。
とかく、知っている理学所見を実施したくなるが、患者さんに負担のかかる検査は、熟慮が必要なことが分かった。
日常診療でよくある症状なので、こういった稀な疾患も頭に入れて治療にあたりたいです。
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